高い技術力を強みに、金属を強靭にする熱処理加工を担い70年。未経験から技術者へと成長
<カイシャの特徴>
●事業内容:金属を強靭にする熱処理加工
●仕事のやりがい:技能が向上していく実感
●育成制度:専門知識・実務が基礎から身に付く
●働く環境:生活と仕事の両立がしやすい
金属を硬く強くする熱処理加工。「現代の名工」が在籍する高い技術力が強み
金属に熱を加え、より強靭(きょうじん)にする熱処理加工を行っている上島熱処理工業所。工作機械に取り付ける切削工具や、プレス機用の金型などの加工依頼に、確かな技術で応えている。同社の主要技術であるソルトバスによる熱処理は、塩化物を真っ赤に溶かした熱処理槽に金属を入れて加熱し冷却することで、硬度や粘り強さを高め、金属をより強靭に加工する技術。高品質かつ大型の案件にも対応できるため、全国から加工の依頼が集まっている。
「ソルトバスの熱処理工程では、高い技術と判断力が必要となるため、作業の大部分は現在も手作業で行われています。職人が音を聞く、色を見る、においを嗅ぐ、振動を感じるといった感覚を研ぎ澄ませて品質を見極めています」(上島社長)
同社の技術は国からも認められており、厚生労働大臣から表彰された卓越した技能を持つ「現代の名工」が3人在籍している。培った技術を生かしながら、今後は航空機分野の受注拡大や、金属3Dプリンターで作った造形物の熱処理といった新しい分野への進出も目指している。
技術が身に付く実感と日々感じる「金属に魂を吹き込む」という達成感
同社での仕事の面白さは、自分の手を通じて金属が変化していく過程を間近で感じられること。また、様々な工程を経験して技術者としての成長を実感できるのも、社員のやりがいにつながっているという。
「この金属が熱処理によってどれくらいの硬さになっていくのかといった知識が、現場での作業を通して蓄積されていくのが面白いです。また、理論の勉強も組み合わさることで知識がより深まり、手に職をつけている実感が得られます」(入社6年目、技術部の濱松係長)
「約1200℃といった高温のソルトバスの近くで作業するので集中力が必要ですし、体力が求められます。大変な環境での作業なだけに、毎日仕事が終わった後は大きな達成感があります。当社の熱処理によって、金属に魂を吹き込み、さらに強く成長させるというイメージで仕事に取り組んでいます」(入社15年目、製造部の吉田係長)
基礎から専門知識まで学び実務を身に付ける。資格取得などもサポート
同社に入社した新入社員は、熱処理の各工程を3カ月程度かけて回り、先輩社員から知識や実務を学んでいく。その後は、金属に熱を入れる最初の工程である「焼き入れ」に仮配属される。焼き入れへの配属には、熱処理の基本を知ることができる工程であることや、高温環境での業務に耐えられる体を作る意味合いがあるという。各工程に本配属されると、社内の「現代の名工」たちから直接学ぶ機会も多い。
また、現場での実践や技術習得だけでなく、資格取得や講習の受講などのサポート体制も整えている。熱処理に欠かせない金属熱処理技能士、金属の性質や強さを調べる検査に必要な金属材料試験技能士などが代表的な資格で、取得にかかる費用は会社が負担する。合格者には報奨金が支給される。さらに大学の講座も受講できる。
会社の支援を受けて金属熱処理技能士1級の資格を取得したという濱松係長は、1年半にわたり大学でものづくり現場の中核人材を育成するプログラムを受講している。
「知識が深まるとともに、他社の技術者や社長とも交流ができて、よい刺激になっています」
男性社員の半年間の育休取得実績あり。生活と仕事の両立がしやすい職場
同社には半年間の育児休業を取得した男性社員が在籍しているほか、年5日の範囲内で取得が可能な時間単位の有給休暇の導入など、休みが取りやすくプライベートと仕事を両立しやすい環境が整っている。工程の都合で発生する残業も持ち回りで対応するため、特定の社員に負担が偏らない仕組みになっているという。
また、社内のイベントとして暑気払いや忘年会、鞴(ふいご)祭*などを開催し、社員交流の機会を作っている。
「熱処理を扱う企業として、伝統ある鞴祭りを大切にしています。社員同士の結び付きを深める良い機会になっています」(吉田係長)
*鞴(ふいご)祭:鞴とは金属を熱して加工する際に、炉に風を送って火力を強めるための道具。1年間の無火災(安全祈願)や商売繁盛などを祈願する
自分の目で見て感じよう
就職活動においては実際に足を運んで体験することを大切にしてほしいです。当社は見学やインターンの受入れも積極的に行っています。
このカイシャが15秒でわかるムービー
ムービーはこちら
●第46号 (2026年10月発行)掲載 ※掲載内容は発行日時点のものです。


