東京カイシャハッケン伝!

MENU

芝園開発株式会社

  • 城東地区
  • その他

放置自転車対策で地域のマナー環境を向上 社会のため、創造的に挑戦できる会社

自治体と連携した画期的な事業ストーリー
放置自転車対策で地域のマナー環境を向上 社会のため、創造的に挑戦できる会社

日本人の2人に1人が自転車を保有する時代、放置自転車は首都圏の主要駅の大きな悩みだ。そんな中、芝園開発は時間貸駐車場事業のノウハウを生かし、日本で初めて無人機械式時間貸駐輪場システムを開発。新たな分野へと挑戦し続ける力を生み出しているのは、創造力を発揮しながら家族も個性も大切にできる環境だった。

近江商人の三方よし 駐車場ノウハウを駐輪場にも


 芝園開発は、もともと海老沼孝二社長の父が経営していた建設会社を兄弟3人で継承し、その関連会社として設立された。当初は下水や道路の舗装など、土木事業を手がけていたが、立体駐車場を建設した縁で、1995 年、国内最大手コインパーキング業者と代理店契約を結び、時間貸駐車場の事業を開始した。
 ある日、駐車場の機械の故障で「車を出せない」と連絡が寄せられた。海老沼社長は平謝りし、利用代金を返そうとした。しかし車の持ち主である女性は「ここに駐車場があってとても助かっている。もっと頑張ってつくってほしい」と、怒るどころか、感謝を示し、代金も支払って帰った。
 「お客様に喜ばれる仕事こそが本当の商売だ。『近江商人の三方よし』の実践をこのとき、改めて意識しました」
 「近江商人の三方よし」とは、「売り手よし、買い手よし、世間よし」というビジネスの基本とされる考え方だ。売り手も買い手も満足し、更に社会に貢献することで、世間の共感も集めることの重要性を説いている。
 時間貸駐車場で社会の役に立ちたいと感じた海老沼社長。当時は、まだコインパーキングが普及しておらず、社会のニーズに供給が追いついておらず、事業は数年で大きく伸びた。
 そこで海老沼社長は、会社を支える第2の柱となる事業として、駐車場の経営資源やノウハウを生かした時間貸駐輪場サービスを検討した。
 当初、このアイデアは全社員に反対されたが「全責任は自分が取る」と実験施設での検証を開始。その後、時間貸駐輪場の事業は予想以上に拡大し、今や同社の主力事業となった。

body1-1.jpg
本社の1 階で運営する時間貸駐輪場。上段と下段、屋内と屋外で使用料を変えるなど、きめ細かな運営も、無人駐輪場の市場を開拓した同社ならではのサービス

創造性豊かな仕事を求めて 社員の学び環境を支援


 現在は、地域の高齢者の雇用創出にも寄与している。もともとは無人の機械式駐輪場の整備・運営を主に手がけていた。しかし、放置自転車対策として自治体の悩みを聞くうちに、放置自転車の街頭啓発・撤去、自転車の集積・返却も含めて、一貫したサービスが求められていると気付く。そこで、それらの業務に従事する高齢者を直接雇用、またはシルバー人材センターからの派遣を採用し、駐輪場の整備と合わせて、総合的な自転車対策業務を自治体にパッケージ提案した。その結果、足立区などとの協働プロジェクトも生まれている。
 仕事の創造性を重視する海老沼社長は、社員の提案の9割にゴーサインを出すという。
 「会社がつぶれるほどの提案以外は、何でも挑戦してほしいですね」
 「創造とバランス」を社是に掲げる同社。そこには「三方よしのバランス感覚と創造力こそビジネスの源泉」との思いが込められている。
 芝園開発では現在、社員の積極的な学びを支援する環境づくりに取り組んでいる。例えば、希望する研修があれば、2日間の特別有給休暇が付与される「チャレンジ休暇」制度がある。社是を社員が仕事として体現できるよう、チャレンジ精神旺盛な社長が創設した。実際に、この休暇制度を利用して、AEDの講習を受ける社員もいるなど、学びの領域の拡大に役立っている。

body2-1.jpg
「商売は心理学。相手の立場になって考えれば、おのず と答えは出てきます」と語る海老沼社長。創造性を発揮しながら、社会貢献できる事業を追求している

多様な経験を持つ社員が活躍 個性的、創造的に働ける


 同社で働く社員は、様々な経験を持つメンバーが揃う。金融機関から転職した管理部の桒原健人さんは、経理だけでなく、労務や人事など総務全般を担当している。
 「総務は黙々と1人で仕事するイメージでしたが、まったく逆。社内で積極的にコミュニケーションをとっていかなければいけない仕事だと気付きました」
 自治体からの受託案件で、高齢者120 名超を束ねる上かとうの東野優希さんは、芝園開発に入社する以前、学童保育の職員と不動産販売を経験してきた。
 「学童の仕事は、充実感がありましたが、給与面で厳しく、不動産はお給料には満足できましたが、家族と過ごす時間がまったく取れませんでした。ですが今は、家族も大切にしながら働けて、給与にも恵まれています」
 芝園開発でようやく理想の働き方に巡り合えた上東野さん。実はつい最近、結婚式を挙げ、社内からも大いに祝福された。
 また、海老沼社長の二女の海老沼里美さんは、ヘアーメイク業界から転身し、現在はフィットネス事業を担当する。
 「他の業界からの入社だからこその発想を大切にしてもらえる会社です。自分の個性を生かしつつ、先輩に学びながら、人間的にすごく成長している実感があります」
 これまで中途を中心に採用してきた同社だが、今後は新卒採用にも注力していく方針だ。仕事に必要なスキルを聞くと、桒原さんは「時に社内とは距離を置いた冷静なものの見方」、海老沼さんは「自ら興味を持ち、疑問に思う姿勢。俯瞰した優先順位付け」、上東野さんは「熱いハートと責任感」と、求められるものも、仕事の内容によって様々であることがわかる。本来持っている個性と、仕事や成長への意欲を大切に、創造性を生かして働ける環境だ。

body3-1.jpg
経験と個性豊かなスタッフが揃う同社ではコミュニケーションも活発。互いに気兼ねなく意見し、支え合える先輩後輩、仕事仲間に恵まれている(左から、桒原さん、海老沼さん、上東野さん)

ハツタロウー・ケンジロー・なびでんちゃんのもっと知りたい!


自社運営のフィットネスでリフレッシュ!


 駐車場・駐輪場の運営ノウハウを生かし、24 時間営業のフィットネスも都内3カ所、千葉県内1カ所の計4店舗を展開しています。平日昼間は比較的、空いていますが、休日は家族連れで込み合う日も多いです。
 実はそのうちの1箇所が本社2階にあるので、社員も利用できます。みんな、仕事帰りや休憩時に利用していますね。「今日は夫に子供のお迎えをお願いできたから、帰宅前にリフレッシュしていこう」と、育児をしながら利用する女性社員もいます。黙々と鍛えて自分の身体と向き合う時間は、貴重な気分転換になります。(海老沼さん)

edit-1.jpg
いつでも自由に使えるジムマシンがずらりと並ぶ、24時間営業のフィットネス。仕事の休憩時や退社後の気分転換には最適

●第13号 (2018年6月発行)掲載 ※掲載内容は発行日時点のものです。

企業情報

社名
芝園開発株式会社
設立・創業年
1986年
資本金
5,000万円
代表者名
代表取締役 海老沼 孝二
従業員数
25名(内、女性従業員9名)
所在地
120-0034 東京都足立区千住3-66-16
TEL
03-3870-0041