1947年に創業した館野機械製作所は、工作機械や光学機械の製造・販売を手掛ける総合機械メーカー。顧客は大手機械メーカーをはじめ、光学、精密機器など幅広い。その注文も多岐にわたり、完全オーダーメイドで機械をまるごと請け負う場合もあれば、機械の一部分を制作する場合もある。設計から部品製造、組み立て、検査、据え付け、修理まで一貫して請け負うことで、顧客のあらゆる要望に応えてきた。
　また、オリジナルの製造機器にも力を入れており、カメラレンズを加工するレンズ加工機には定評がある。
　「およそ60年前にカメラメーカーからレンズ加工機を作ってほしいと依頼されて以来、研究を重ねてきました。レンズはカメラに欠かせない要ですから、どんな角度でもムラなく磨ける精度が求められます。お客様のレベルの高い要望に応えようと努力してきた技術が結集されています」と舘野代表は胸を張る。　
　ガラスを磨き上げる技術は新しい分野からも引き合いが多く、その一例がガラス製ハードディスク用の加工機。海外の製造現場でも、同社の加工機が使われているという。
　「その他にも、精度の高いガラス加工が求められる医療用のカメラや車載カメラ、防犯カメラ、更には、スマートフォンのカバーガラスやスマートウォッチ用の表面ガラスにも当社の加工機が用いられています。今後も新しい分野にどんどん挑戦していきたいと考えています」
　引き合いは大手メーカーの工場がある中国、韓国、台湾をはじめ海外からも多く、日本のものづくり技術を世界に積極的に発信していくと意気込む。

　同社の魅力について、「人が優しい」「質問しやすい」雰囲気だと社員たちは評価する。こうした社風を培っているのがスポーツや趣味のクラブ活動や会社の集いだという。
　「サークルは社員たちが自主的に活動しているもので、私はフットサル部などに所属しています。その他にも飲み会もありますし、２年に一度の社員旅行も社員同士の交流が図れる良い機会になっています。部門の枠を取っ払った肩肘張らない付き合いが、仕事でも何でも相談できる人間関係を形成してると思います」（吉永係長）
　同社の社風に惹かれて入社したという社員も多く、中には未経験で入社し技術を磨いている社員もいる。　
　「日本の技術を学びたいという外国人の社員もいますし、これからはものづくりの現場で働く女性も増えていくでしょう。女性が働きやすい環境づくりにも積極的に取り組んでいきたいと考えています」（舘野代表）