“好き”を生かし、技術力を高めながらキャラクターの魅力を発信する
アクリル製のキャラクターグッズを製造するユー・エスエンジニアリングは、キャラクターがプリントされたキーホルダーやプレート、スマホスタンドなど、幅広いアイテムを手掛ける。特殊加工の技術力と多品種小ロット生産への対応力で業績を伸ばすとともに、働きやすい環境づくりにも取り組んでいる。
2011年から新規事業に参入加工技術を武器に躍進
1998年に設立されたユー・エスエンジニアリングの原点は、電気設備工事を請け負うほか、ケーブル見本、電柱に掲げられる標識などの製作を手掛けてきた。しかし、市場の冷え込みに対応すべく、2011年に思い切って事業を転換。アクリル製のキャラクターグッズの製造をスタートし、現在、主力事業となるまでの成長を遂げた。
「ケーブル見本などの受注が減っていたので、今まで培ってきたアクリル板の加工という技術を生かして業務の幅を広げようと、アクリルが使われることが多いキャラクターグッズに目をつけました。想像上のニーズがあり、正直、驚いています」と門脇代表は、嬉しい誤算について語る。
アクリル製のキャラクターグッズと一口に言っても、そのバリエーションは幅広い。同社は、アクリル板を重ね合わせる特殊加工やホログラムを施し、キャラクターを立体的に見せるといった特徴を打ち出し、好評を博している。
「気泡が入らないようにアクリル板を重ね合わせるのは、手作業になります。そうした特殊加工ができるのも当社の強みです」(門脇代表)
有名アニメや人気アイドルグループなどのグッズも数多く手掛ける同社。イベント会社や出版社等からの多品種小ロット生産の依頼に対応することで受注件数を伸ばしている。
現在、取り扱うキャラクターグッズは、手の平サイズ、もしくは卓上サイズでおさまるものがほとんどだが、大型プリンターを導入し、等身大サイズの制作にも取り組み、店頭用ディスプレーやイベント用などの需要拡大にも積極的に対応している。
更に、個人向けのオーダーにも応じるウェブサイトも開設し、年間通して安定した受注を獲得している。
「自分で作ったキャラクターをグッズにしたいという方もいらっしゃいます。全体から見れば割合は小さいですが、そうした個人のニーズもこれから更に伸びていくと見込んでいます」(門脇代表)
部署を越えて社員同士が協力し合える社風
2011年には5名だった社員は業務拡大とともに増え、現在は37名を数える。社員数の増加に併せて、働きやすい環境づくりにも力を注いでいる。
「女性社員も増えたことから、それまで共用だったトイレやロッカールームなどを男女別に整備しました。週1回行っているリーダー会議で社員の意見を募り、できるところから環境整備を行っています」(門脇代表)
繁忙期には、残業や休日出勤が発生することもあるが、代表や管理職が社員たちに声を掛け、特定の社員に負担が多くならないように業務を配分しているという。
「仕事が立て込んできたときには、サポートを頼むこともありますし、自分が頼まれることもあります。部署を越えて遠慮なく相談でき、互いに協力し合える雰囲気が当社の良いところです」と、入社7年目、二次加工チームで特殊加工などを担当する新井さんは語る。
社員の大半が未経験者OJTで仕事を学ぶ
同社にはものづくりやキャラクターに関わる仕事にあこがれて入社する社員が多く、その大半は業界未経験者。データ作成、レーザー加工、二次加工、仕上げといった技術や梱包といった業務は、配属された各部署の先輩についてOJTで学んでいく。
入社1年目の小林さんは、現在、プリンターチームで研修中。「先輩が丁寧に教えてくれるので、一通りの操作方法は習得できました。これからは特殊な設定方法にも対応できるようになりたい」と意欲を見せる。
小林さんにとって、同社はまさに働きがいのある職場だという。
「ものづくりに携わりたいという強い希望がありました。また、キャラクターが好きなので、当社は私にとって理想の仕事場。毎日、充実しています」(小林さん)
ここがポイント!働くやりがい!
アニメやキャラクターなど、好きなものに携わる喜び
アニメやキャラクター好きが多く集まる同社。好きだからこそ、商品への思い入れも強く、品質の良いものを作ろうという情熱が沸き上がるという。また、同社では、新しく3Dプリンターを導入し、平面的なアクリル板に立体的な加工を施すなど、新しい加工技術にも積極的に取り組んでいる。世の中に多種多様なキャラクターグッズがあふれる中で、思いや技術、創意工夫を込めて新しいグッズを生み出していくものづくりの喜びは大きい。
●第20号 (2020年3月発行)掲載 ※掲載内容は発行日時点のものです。