プラスチックやゴムなどでできた製品を大量生産するには、金型と呼ばれる型枠に溶解させた素材を流し込んで製造することが多い。米持モールドはプラスチック金型の設計・製造を手掛ける会社として2006年に設立された。
　同社が設計・製造する金型で作られる製品は多岐にわたり、自動車のナビやオーディオなどを収納する計器盤部分、バスルームやトイレなどの水栓金具、更に航空機の座席モニターの画面枠やリモコンなど、身の回りにもたくさんある。例えば自動車の計器盤は国産の高級車に使用され、水栓金具は国内大手の住宅総合設備メーカーの製品に使用されるなど、同社の技術力の高さは幅広い業界に知られている。
　「当社は特に金型の設計を得意としており、緻密さと仕上がりを高く評価いただいています。例えば、車の計器盤は複雑な形状で大きいので、金型づくりに高度な技術を要します」　
　そう語るのは米持モールドの米持代表。同社の設立は2006年だが、設立前に米持代表は父と兄が経営していた別会社で働いており、そこで蓄積したノウハウが、現在の金型づくりに生かされているという。
　金型設計は、メーカーなどの依頼主から製品モデルを受け取り、その形状にするにはどのような金型が適切なのかを考える。このときに優れたアイデアや経験で培ったノウハウが生かされ、同社はスピーディかつ的確な設計をすることで多くの顧客の信頼を獲得してきたという。

　ものづくりを支える金型の設計や製造は、経験を要する職人の世界。一人前になるには10年は掛かるといわれているというが、同社では経験豊富なベテラン社員がマンツーマンで教えることで若手社員の成長を促している。同時に米持代表は社員の日報をチェックし、業務とそれに費やした時間などから各自のスキルを判断。随時、面談を行い覚えるべき技術を伝えている。
　独自のノウハウを活用しながら仕事に臨んでいると話すのは、入社８年目、設計担当の大橋さん。
　「以前、金型設計に携わっていたので基本知識は身に付けていました。ただ、設計に使用していたのは２次元CADでしたので、入社してから3次元CADの操作方法を教えてもらいながら仕事を覚えました。また当社には先輩たちが手掛けてきた数多くの設計データが残っているので、それを参考にしながらより良い金型設計を心掛けています」
　社外研修への参加も積極的に行われ、その他、技能士資格などの資格取得の費用負担や取得後の職能給への反映など、スキルアップへの支援制度も整っている。