「何をやれば注目されるのかとずっと考えていました。そんなとき、ある雑誌を手に取ったら「日本の海底には、メタンハイドレートやレアアースなど、すごい資源が眠っている」という記事を見つけました。胸が躍りましたね。
日本には大きな可能性を秘める海底資源がある。それなのに、事業として発掘しようとする企業はありません。大企業もやっていないわけですから、われわれ中小企業が深海探査機などの海底資源を発掘するのに必要な装置を作ることができれば、非常に大きな好機をつかめるのではないかと考えたのです」(杉野社長)
しかし、その考えを周囲に相談しても、「無茶だ」「そんな大それたこと、できはしない」と相手にされなかった。
悔しいが、どうにもならないのか――。そんな思いも脳裏をよぎり始めた2009年1月、「東大阪の中小企業が作った人工衛星「まいど1号」の打ち上げが成功した」とのニュースが飛び込んできた。
「そのニュースを境に空気が変わりましたね。「杉野の言っていたことも、実現できるかもしれないな」と仲間たちが耳を傾けてくれるようになったのです」(杉野社長)
勇気付けられた杉野社長は、東京東信用金庫の支店長と話をする機会があったとき、試しに「深海探査機を作ってみたい」と打ち明けてみた。すると「中小企業を取り巻く沈んだ雰囲気を吹き飛ばすには、うってつけの考えだ!」と支店長も大いに賛同。そして支店長から「この人に相談してみたらどうか」と紹介されたのが、同行・中小企業応援センターの桂川正巳コーディネーターだった。